◆◆◆ 若山隆行 エッセイ ◆◆◆

 さてみなさんこんにちは。立川亮とタンゴアカシアーノのベースマン、若山隆行でございます。
 今回各メンバーに割り当てられた「エッセイ」でありますが、僕はその貴重なスペースを掟破りの
「愛聴盤」のレコードをご紹介するコーナーとしたいと思います。

 「普通じゃ〜ん」というお声が聞こえてきそうですが、普通であることがどんなにたいへんなことか!
普通の家庭を築くのがどんなに偉大なことか!!
 そんな普通の家庭を30年も維持できた親父とおふくろに感謝して、この普通のコーナーを遂行
していきたいと思います。

 ちなみにね、ポイントとしては「ウッドベースが入っている音源に限る」ということです。
 CDになってないものもあるかもしれませんが、気になったらがんばって探してくださいな。
 そう、「求める」という行為が大事なのです。
 そうすることによって、あなたにとってそれは大切な意味を持つものになり得るのです。
 ということです。さようなら。

若 山

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第二十六回

 Sarah Harmer/4枚のアルバム

 いやあ、26回目ですか。こうまで数が増えますと、昔書いた記事もず〜っと前のページになってたりして、
 同じ事書いても誰も(自分さえも)気が付かないんじゃあなかろうか?と思いますけども、そこは頑張ってあたらしいネタを探す訳です。
 今回は「Sarah Harmer」さんのアルバムで、ウッドベースの入っている「Song For Clem」というのがありますのでそれを。
 と思いましたが、少しずつ全部のアルバムを。

 このSarah Harmerさん、あまり日本では知られていないようで、日本語で書いてあるWebページをちょっと調べてみてもあまり気の利いた記事が引っかかりません。それでは、売れてないもしくは全くの無名、ということでしょうか?
いえいえだとしたらUniversalなどというレコード会社からのリリースということにはなりませんでしょうし。
 もしくは内容がよっぽど酷いのでしょうか?いやいや、本当に素晴らしいです。
 YouTubeにもたくさん上がってますんで、買わずとも一聴の価値ありです。

 ということでして、彼女のサイト(http://www.sarahharmer.com/)を見ても当然のことながら全部英語な訳でして、あまり正確な情報を読み取れません。
 僕の知っている範疇の情報では、、、
 ●カナダを中心に活動するアーチストらしい。
 ●以前は「Weeping Tile」というロックバンドで活動していたらしい。
 ●ギターを弾きながら歌う。
 など。
 現時点で4枚のアルバムが発売されている。僕はこのうち何枚かを初めての個人輸入で購入した。ドキドキしたが案外簡単であった。
 それぞれのアルバムを簡単に解説していくと、

「You Were Here」

 おそらくこれが1stアルバム。ロック地サウンドながらも地に足ついた歌唱はこの頃から。
 歌唱自体は確立しているが、メロディの節回しのキャッチーさとしてはよく聴くと難解というか、ふわりとしたところがあって、そこがこの人の特徴となっている気がする。体にすっと入ってくる割には自分で歌うとなかなかうまく歌えない、というかね。
 ボン・ジョビの「夜明けのランナウェイ」みたいな青臭いジャケットでちょっとダサい。
 中身と全然違うなあ。怖くないアラニス・モリセット+フィオナ・アップルという趣き。
 日本でも中古で安く売っている。¥300とかね。
 1曲目の「Around The Corners」と最後の「Everytime」が好き。


「All Of Our Names」

 前作と同じ路線のサウンドながら、垢抜け具合は数段こちらが上。ワールドワイドに売れることを意識したと思われる作り。
 音も無駄が無い。捨て曲も無し。ジャケットは顔大写し。決して美人でもないが、不細工でもない。
 「フツー」の女性が持っている魅力を昇華した感じがビジュアルからもサウンドからも感じる。


「Song For Clem」

 ジャズのスタンダードなんかをカントリー調にアレンジしている。
 野外で録音したものもあるのか、コオロギがリーリー鳴いている音も聞こえる、完全にレイドバックな一枚。
 途中経過&企画もの的に出したアルバムな雰囲気だが、これがウケたのからなのか、自分で気に入ったスタイルだったのか、次作ははこちらのカントリー調をベースにしたものになる。
 名義が「Sarah Harmer And Jason Euringer」となっていて、時々めちゃくちゃ気の利いたところで嫌味なく入る男性コーラスがジェイソンさんと思われる。
 クレジットによると、ベースとギター、スライドギターもやっているらしく多才さんだ。
 収録曲は
 1. Blue Moon Of Kentucky
 2. Tennessee Waltz
 3. Black Coffee
 4. Stormy Weather
 5. Oh Bury Me Not
 6. Just A Closer Walk With Thee
 7. Shine On Harvest Moon
 8. Trouble In The Fields
 9. Your Cheatin' Heart
 10. Summertime
 11. Sentimental Journey
 12. O, My Beloved Father

 なーんか昔っぽい歌い方をわざわざしているのだが、もともとサラッとした人なので泥臭すぎずいい感じです。
 でっかい音で聴くよりは比較的小さい音で、小さいスピーカーで聴きたいアルバムです。

 「吹ゞ」のミューザ川崎でのストリート演奏時、Blossom伊藤さんに「BGM流すからiPod貸して」と言われてかけたのがこれ。
 そしたら伊藤さんに「シブいね〜〜。」と言われた。確かにまだ昼なのになんだかもう夕方っぽい感じになった、、。
 そう、夕方っぽいね!夜じゃないんだ!うんうん夕方っぽい!よ〜し解決!!


「I'm The Mountain」

 彼女のページのバイオを翻訳サービスにかけてみるとこのアルバムは「私は山」と翻訳された。ぐうの音も出ない。
 前作はどちらかというと陽気でのほほんとした雰囲気があったが、この作品はカントリー的でありながらもより内省的なムード。
 地味ながらへヴィローテーション、スルメアルバムになっている。これも安く出てるなあ。見つけたら買ってみるもよし。


 う〜ん、こういう機会なのでまとめて聴いてみたけど、これはなんというか捉えどころのないアーチストかもなあ。
 魅力そのものの光り方がなんというか「普通である」ことの上に成りたっている感じなので、曲単位とかで語る人じゃあないのかもねえ。
 ま、時にはこういう「だれも知らないけど、すっごく良いんだぜ。」という音楽を持っているのも一つの喜びである、と。

 ではでは〜。

-2008.12.01(火)

 

第二十五回


 Cannonball Adderley/Mercy,Mercy,Mercy!Live At The "Club"

 さっきまで実家の方に遊びに行っていて、いろいろと思い出話に花を咲かせてきました。
 帰りの車中、珍しく「CD」を流しました。最近は専らiPod(今や立川氏も持っている!)でMP3、というのが多く、それはそれで満足していた訳ですが、
 、、、やっぱりCDの方が音が良いですねえ〜。圧縮に慣れた耳へのあの爽快感っていったらなかったです。高音も低音もちゃんと聴こえてきます。
 元々パツパツに圧縮された最近のJ-POPなんかだとそれほど差は感じないのかもしれませんが、アコースティックな楽器が入っている音源なんかは「やっぱりCDい〜な!」と見直しました。

 話は変わるのですが、最近「できるだけお金をかけなくてよい楽しみを探す」というのを実践しています。
 ブックオフなんかで1冊100円の小説を買い込んだり(ちなみに最近は海外のS・Kingがお気に入り)散歩したり、、、。
 そのうちのひとつで、「ジャズのスタンダードの譜面を、読んだり写したりする」というのがあります。
 夜寝る前とか、お風呂に入りながらとか、車に2,3曲分置いておいて信号待ちの時に見るとか。そんなことをするのが楽しい。
 元々譜が得意とは言えないほうなので、楽しみながら勉強してしまおう!的なノリです。そんなんで部屋中譜面のコピーが散らばっている最近の我が家です。
 しかも、目に付いたものにメモしてしまうほうなので、「〜に電話」とか「にんじん 洗顔料」とか裏側のページに書いてある譜面が増えました(笑)

 今回はそのスタンダードの譜面集の中にあった1曲「Mercy,Mercy,Mercy」が収録されているキャノンボール・アダレイのライブ盤を。
 ジャズというと、堅苦しい4ビートの印象がありますが、この盤はもっと泥臭いリズム&ブルースの要素も大いに盛り込んだファンキーなライブが収録されています。
 観客もなんだか大盛り上がりでなんだか曲中もずっと騒いでますねえ。「イヤ、そんなに騒ぐ曲調じゃないでしょ。」という時も、、、。
 楽しげでソウルフルな演奏でグイグイ盛り上がっていくのですが、メンバーみなさんジャズの名手だけあって、アドリブや演奏のキレなど、
 ジャズとしての楽しみも同時に楽しめるお得感。正直一枚目に薦めるようなもんでもないですが、有名な盤なので1000円CDとかも出ているでしょう。
 覚えていたらついでに購入というのも手です(笑)
 なんか今回は消極的ですね(笑)タイトル曲は聴いたことはあるんじゃあないかな?こないだのジャズフェスでも演奏しているグループがありましたねえ。
 ゴスペル的な匂いの特に派手な曲じゃあないんですが、忘れない曲のひとつ。ウッドベースは旋律的ではなく非常にリズムを推すタイプ。これはこれでカッコい〜な!
 では〜。

-2008.10.03(金)

 

 今日は昼頃からハデな雷と激しい雨。夕立ち的。
 「昼なので昼立ちか?では朝ならどうだ?」などと哲学的な思考を働かせながら、雷を撮影してやろうと表に出る。
 家の前のサイクリングロードでパシャパシャやっていたら、目の前を急に雨に降られズブ濡れになったチャリンコ二人乗りの女の子達にエライ顔された。
 「あイエ、わたくし怪しいモンじゃございません、別にあなた方を撮っていたわけでは、、。」と言い訳しようもなく、、、。通報されていませんように。
 スゴスゴと家に戻り、今回のテーマを探すことにした、、、。

第二十四回


 Brian Bromberg/Wood

 今回はキングレコードから出ている「低音王」というコントラバスにスポットを当てたシリーズの中の一枚。
 ブライアン・ブロンバーグさんというベース弾きの「ウッド」という作品です。
 モロなタイトル通り、ウッドベースを弾きまくる作品なんですが、海外では「ウッドベース」という表記はなかなか使わないみたいで、「コントラバス」「ダブルベース」「ストリングベース」あたりが一般的みたいですが、これは「ウッド」ですね。日本人が監修しているからでしょうか?

 今まで、凄いテクニックを持ったベーシストはたくさん存在していたとは思うのですが、需要やセールス的な問題でも数は多くないです。
 その中で昨今のちょっとしたウッドベース・ブームに乗って「出しちゃえ〜!」と思ったかどうかはわかりませんが、とにかく今まで「ウッドベース」という素材を使ってでは聴いたこと無いくらいのハイテクニック・超絶技巧です。
 僕なんかはただただピロピロやられても、あんまり反応しないのですが、「これは凄すぎる。しかもベースが思いっきり主張しながらも音楽としてカッコイイ。」とノックアウトです。「ウエ〜、ウッドベースでここまで出来ちゃうんだな〜。」と限界の高さを見せつけられたようです。言い訳出来なくなるので、一緒にやっているメンバーなどには是非聴かせたくないですね(笑)
 収録曲もスタンダートの名曲達が元になっているので一枚通して聴いても飽きません。ちなみに僕はビートルズの完成度の高い「Come Together」とファンキーな「アメリカ国歌」が好きです。 どちらもベースの独奏!!
 
 いつだったか、シオちゃん(オザワサトシと空色ドルフィン)とこのブライアン・ブロンバーグの話をしたのですが、彼は来日公演を見に行ったらしく、横からこっそり「弦高」を見たらエラい低かった、ようなことを言っていた気がします。この弦高、高ければ高いほど、音量も低音感も出ていわゆる「ボンボン!」に近くなるのですが、どうやら低かったようですね。よかった!なぜならベーシストといたしましては「こんなにベロベロ弾けてしかも弦高も高いなんて!キーッ!!」となるからですよ。35歳にしてまたも挫折を味わうことになるのか!!!

 ま、それは置いておいて「ベースって地味じゃん。」という方には「こういうのもあるんだよ、ヒヒヒ!」という一枚です。確か3000円はしたと思いますので、是非友達のベースマンにオススメして、一緒に聴いたりしてみてください。
 余談ですが、最近「ポニョ」パワープレイです(笑)あれはスゴイ。

 では〜。

-2008.08.01(金)

 

 ついに待ちに待ってない梅雨入りですかね?

 つい最近の話だけれど、昔の友に偶然「日本」で再会した。
東横線・綱島駅から急行に乗り、渋谷で降りる。普段と同じように、特に周りを気にすることもなく自分歩幅で歩いていたところ、向こうから早足で僕に近づいてくる人物がいた。物騒な世の中、「うわっ!オレ刺されるかも!」と思いつつも顔を確認すると、知った顔。
 以前にやっていたソウル・ミュージックのバンドでギターを弾いていた男であった。
「あれ?ロスにいるんじゃなかったっけ?」
「いや、今はこっちに帰ってきてるんです。」
 その日はフォー研ライブの日だった為そこで別れたが、後日また渋谷にて飲むことにした。

 彼は同じソウルの音楽でも、より「オシャレ」と僕には思えるものを好きで、以前はなかなか完全に趣味が合致することはなかったが、お互いジャズなんぞを聴くようにもなってから話してみると「あー、アレいいね〜。」と思えるようなものが出てきた。
 今回の「Bill Evans/Intuition」もその一枚。もちろん飲み会は楽しく、旧友を温める機会となった。

第二十三回


 Bill Evans/Intuition

 Bill Evans、ビル・エバンスというというピアニストの名前は、特にジャズファンでなくとも聞いた事位はあると思う。
 マイルス・デイビスなどと同じように、例に挙げられるジャズの巨人の一人である。
 リリカルで叙情的なスタイルを持ち味とし、特にベースとの「インタープレイ」と呼ばれる会話のようなアドリブで創造される独特な空間が素晴らしかった。
 一般には黄金期は、天才と呼ばれたスコット・ラファロ(61年に25歳で交通事故死)達とのトリオが活動していた60年代初頭くらいまでとされている様だが、その後、多くの活動を共にする「Eddie Gomez,エディ・ゴメス」とのデュオを作品がこのアルバム。

 作品の特徴としては
・ドラムを排除した、ピアノとコントラバスの珍しいデュオ作品。
・コントラバスEddie Gomezと繰り広げる高度なインタープレイ。
・生のピアノで有名なBill Evansだが、今作では大々的に「エレクトリック・ピアノ(電気ピアノ)」を導入している。
 など。
 特にエレピ(エレクトリック・ピアノ)の音が物凄く特徴的で、ソウル・ミュージックなどには盛んに使われるエレピなのでよく知ってはいるのだが、ここまで独特なエレピはあまり出会えない。スピーカーの前面に張り付いたピアノが右に左に揺れる、、。
 これを夜照明を落とした部屋ひとり、じっくり聴くと深い世界にドップリと落ち込める、、、、。
 
 演奏そのものについては僕なんぞが解説するのはおこがましい程、高度な事をサラッとやってのけていると思われるので、研究素材というよりも専ら「聴く為の音楽」やBGMとして聴いている。
 引越しをして多少部屋も広くなったことだし、ちゃんとしたスピーカーで一度、聴いてみたいなと思う今日この頃である。

 正直、「これからジャズを志す人に推薦する一枚」には誰も選ばないアルバムかとは思いますが、「良い音楽を体験したい人に推薦する一枚」には十分なり得るものと思っています。
 再発で1000円ほどの安いものが国内盤で出ていると思いますので、よかったら聴いてみてください。

-2008.06.03(火)

 

第二十二回


 浅川マキ/浅川マキの世界

 立川が時々「ワッキーはアングラだからね。」と言う。
 僕は「そんなことないぜ、アンダーグラウンドだぜ。」と答えることにしているが、「アングラ」の方も嫌いではない。
 いや、どちらかというと好きだ。一流のアングラの方々の表現活動はやはりおもしろい。

 こと音楽にしても、「アングラ」というジャンルがある訳ではないので、どうすればそこに属するのか?
 というのはその作品やアーチストなどが持っている独自の空気感とか活動の方針とかになるのだろうけど、そういった「感じ」がメジャー作品でも色濃く表れている時期がある。
 年代で言えば、1960年代の後半から70年代初頭にかけてが、音楽に限らず漫画や映画、ファッションなども「濃いな〜。」と個人的にセンサーが働く頃かと。

 今回はその頃、69年にデビュー〜現在も活動まで独自のスタイルを崩さずに活動している歌手「浅川マキ」のアルバム[浅川マキの世界]をご紹介。

 この方、僕も「なつかし映像」とかでも見たことは無いのでジャケットやインナーなどでしかその姿は見たことが無かった。
 最近やっと過去のライブのDVD『幻の男たち』で動く姿を見ることが出来たくらい。
 現在でもライブ演奏を行っているので見る機会はあるのだがなかなかそのタイミングに恵まれない。
 長い黒髪に黒装束、少し猫背気味につぶやくように歌い、その声は低く暗い。私生活もまったく謎。
 音楽としてはジャズや、アメリカのルーツ・ミュージックをベースとしているが、この人が歌うと「浅川マキの世界」に染め上がられる。
 どう考えても万人が歓迎する感じではないのだが、現在もそのスタイルを崩さずにいる。ミュージシャンが惚れるタイプのシンガー。

 アルバムはたくさん出ていて、どのアルバムもそれぞれ素晴らしいのだが、「浅川マキの世界」は彼女の「闇」が、寺山修二の少し過剰なまでの演出によって全開となっている、70年代初頭の時代性を伴った作品。

 アルバムのデータとしては、
 アンダーグラウンド・シアターさそり座<A・T・G>でのライヴ収録<演出:寺山修司>およびスタジオ録音
 浅川マキ(vo)、今田 勝(p)、原田政長(b)、稲垣次郎(fl)、他
 となっていて、A面がスタジオ録音、B面が効果音やインタビュー、子供の声などをはさんだライブ録音になっている。70年発売。

 〜収録曲〜
 1 夜が明けたら
 2 ふしあわせという名の猫
 3 淋しさには名前がない
 4 ちっちゃな時から
 5 前科者のクリスマス
 6 赤い橋
 7 かもめ
 8 時には母のない子のように
 9 雪が降る
 10 愛さないの愛せないの
 11 十三日の金曜日のブルース
 12 山河ありき

 「夜が明けたら」「ちっちゃな時から」「かもめ」などは曲調もポップでカーステなどでも聴けるが、「赤い橋」などは絶対窓を開けて聴けない。別段狙ってそうしてあるのではないかもしれないが、怖い。
 なんかもう「三途の川」とか「賽の河原」とかをイメージしてしまう歌唱。子供が聴いたら絶対泣くだろうなあ(笑)

 有名なのでミュージシャンにも「知ってる?」と尋ねたことが何度かあるけれど、結構知らない。やはりアングラなのだろうか、、?
 どちらにせよ現在では絶対にリリースされないであろう作品。当時の時代の産物として、耳を傾けることがあってもいいかもしれない。


 少し前まではCDでも「CD選書」などで発売されていたので入手することが出来たが、最近はオークションで見てもなんだかエライ値段がついている。現在は『DARKNESS I』、『DARKNESS II』、『DARKNESS III』のみ入手可能で『DARKNESS I』で初期の世界を覗くことが出来ると思う。
 アナログでは2000円前後でちらほら売っているのでアルバムそのままを購入可能かと。

-2008.04.01(火)

 

第二十一回


 夏木マリ/パロール

 こんにちは。最近、大量にあるCDとレコードを少し売却しようと考えています。
 整理の為、夜な夜な「いる・いらない」ジャッジ大会をし続けているので少し困憊気味です。
 いっそのこと誰か一括で譲ってしまいたい、、、。


 夏木マリ。最近、パーカッショニストの斎藤ノブとの「フランス婚」を発表、
 独特なキャラクターを演じる女優として活躍中だが、「歌手」としての一面もある。
 むしろ僕なんかは「歌手」としての入り口から興味を持ったクチで、その「音」がカッコよかったためか、女優でどんなヘンな役をやっていても、「な〜にやってもカッコイイなあ〜。」なんて思ってしまう。

 1973年『絹の靴下』でデビュー、ヒットした彼女だが、90年代の後半から、「ピチカート・ファイヴ」の小西康陽氏によるプロデュースの下、ジャズ路線のアルバムを何枚か発表している。
 僕も全て持っている訳ではないが、今回紹介するのはそのうちの2002年の一枚。
 アルバム一枚を通して「ジャジィでカッコイイ!」と素直に思えてしまう作りで、「ジャズボーカルってこうあって欲しいなあ。」という願望を満足させてくれるデフォルメ具合。
 ここら辺は「プロデューサー・小西康陽」の力量なんだろうなあ、と思います。
 ジャズ編成のバックに、二十歳やそこらの女性が歌っても決して説得力の出なさそうな歌詞をさらっと歌う。
 「寝る」とか「男」とかって単語を普通に歌ってスポっとハマる「オバ声」!
 僕はこの「オバ声」マニアで(笑)、ソウル系の女性ボーカルで好きなのも大体この「オバ声」を持つ人たち。
 音域的にも、「低い声に聴こえるが、男声よりも高く、少し歪み気味だったりして抜けは良い。」という特徴も僕好み(笑)


 ちょろっと検索してみたら「ヨーロッパの短編小説みたい」という表現も出てくる。
 「なるほど、確かにそうかもな〜、浅川マキ(この人も日本を代表する超独特なボーカリスト)とかとも共通する路線だけども、浅川マキのほうはもっともっと『昭和の日本』って感じだもんなあ。」などと。
 でも個人的には「日本」だなあ。非日常のオトナの世界。ハードボイルドな感触もあるなあ。

 ということで、「ジャズっぽくてカッコイイCDが欲しいなあ。」と思ったら思い出してみてください。夜部屋を暗くして流していてもナイスですよ。
 決して明るい雰囲気ではないですが、「モロ情念」というよりも映画っぽい「暗さ」だったりするので、聴いたあとに「ズゥ〜ン」となったりもしません。

 タンゴでも、こういう世界観の音が必要な時には耳を通すようにしている一枚です。

 ではまた〜。

-2008.02.01(金)

◆◆◆ 若山隆行 エッセイ back number 2007 ◆◆◆


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